「社会保険労務士」や「社労士」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどんな仕事をしてくれる専門家なのか、はっきりと知らない方も多いのではないでしょうか。
社労士は、企業の「人」に関する手続きや労務管理、経営の相談まで、幅広い領域で活躍する専門家です。
今回は、社労士の仕事内容を法律で定められた3つの主要な業務に沿って、具体例を交えながら分かりやすく解説します。
社会保険労務士(社労士)とは?
社会保険労務士(通称:社労士)は、労働・社会保険に関する法律や、人事・労務管理の専門家として、企業の健全な発展と労働者の福祉向上を支援する国家資格者です。
社労士の業務は、社会保険労務士法に基づき、大きく分けて3種類あります。そのうち、「1号業務」と「2号業務」は、社労士だけが行える独占業務です。

社労士の具体的な仕事内容
1号・2号業務:面倒な行政手続きの代行と書類作成
これらは、企業に代わって行政機関(労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所など)に提出する書類を作成し、手続きを代行する業務です。
◎具体的な業務例
・従業員の入社・退社に伴う社会保険(健康保険・厚生年金)や労働保険(雇用保険・労災保険)の資格取得・喪失手続き
・従業員の病気やケガ、出産、育児、介護などに関する保険給付の申請
・労働保険料の計算と申告(年度更新)
・36協定など、労使協定の作成と届出
・就業規則の作成・変更と届出
これらの手続きは複雑で頻繁に法改正もあるため、専門家である社労士に任せることで、企業は正確かつ迅速に処理でき、本業に専念できます。
3号業務:人事・労務管理に関するコンサルティング
企業の「人」に関する様々な課題について相談に乗り、専門家としてアドバイスや指導を行う業務です。企業の法律顧問のような役割を担います。
◎具体的な業務例
・賃金制度、労働時間、人事評価制度の構築と改善に関するアドバイス
・従業員の採用から退職までの労務管理に関する相談
・解雇や残業代、ハラスメントといった労使トラブルの予防と対応に関する指導
・法改正に対応した社内規程の整備
・助成金の活用提案
社労士は、法律を守る「守りの労務」だけでなく、従業員の意欲を引き出し、生産性を向上させる「攻めの労務」の視点からも企業をサポートします。
その他の業務:紛争解決手続代理業務など
上記に加え、特別な研修を受け、試験に合格した「特定社会保険労務士」は、個別労働関係紛争(従業員と会社の間のトラブル)において、裁判外紛争解決手続(ADR)の代理人として、和解交渉や話し合いの代理を行うこともできます。

まとめ
社会保険労務士(社労士)は、単なる手続きの代行者ではありません。
複雑な社会保険・労働保険の手続き(1号・2号業務)から、企業の成長を支える人事労務コンサルティング(3号業務)まで、企業の「人」に関するあらゆる場面で頼りになるパートナーです。
従業員が安心して働ける環境を整え、労使トラブルを未然に防ぐことは、企業の持続的な成長に不可欠です。
「毎年の手続きが負担になっている」「従業員との関係で悩みがある」「会社のルールを一度しっかり整備したい」など、人事労務に関するお悩みがあれば、専門家である社労士に相談してみてはいかがでしょうか。
長野県諏訪地域で企業の労務管理をサポートする諏訪労務管理センターが、皆様のお悩み解決をお手伝いいたします。