自身の都合により退職した方や会社の何らかの事情により失業してしまった方は、一定の手続きを行うことで公的な給付を受けられます。
この給付は一般的に「失業手当」と呼ばれていますが、正式名称は「基本手当」といいます(本記事では、正式名称の「基本手当」で表記します)。
基本手当を受け取ることができる期間は、多くの方にとって重要な情報です。
失業した際には、生活を支えるための財政的な支援を受けることが可能ですが、この手当の受給期間はいくつかの要因によって異なるため、事前に正確な情報を把握しておくことが大切です。
そこで今回は、基本手当の基本的な受給可能期間とその計算方法、さらに受給期間が変わる条件について解説していきます。
基本手当(失業手当)の基本的な受給期間
基本手当の通常の受給可能期間
基本手当には、「受給期間」と「所定給付日数」という異なる概念があります。
受給期間(基本手当の受給資格が有効な期間)は、離職日の翌日から原則1年間です。
ただし、妊娠・出産・育児、病気・けがなど、就職が困難なやむを得ない事情がある場合には、所定の手続きを行うことで、受給期間を最大離職日の翌日から4年以内まで延長することができます。
一方、実際に基本手当を受け取れる日数である「所定給付日数」は、離職理由・雇用保険の加入期間・年齢によって90〜330日(特例で360日)に決まります。
失業者は、受給期間の中で、自分に割り当てられた所定給付日数の範囲内で手当を受け取りながら就職活動を行います。
所定給付日数は個々の状況によって異なるため、自身が該当する支給日数や受給期間の仕組みを正確に理解することが重要です。
受給開始から終了までの計算方法
受給期間の起算日は、失業の認定日ではなく「離職した日の翌日」です。
この離職翌日から始まる受給期間(原則1年)の中で、所定給付日数の範囲内で基本手当を受給する仕組みになっています。
「所定給付日数」は、年齢や被保険者期間、離職理由によって変動します。
一方で、受給期間そのものは、一般被保険者の場合は、例外はあるものの原則1年となります。
受給開始から終了までの期間を計算する場合は、起算日と所定給付日数を間違えないように注意しましょう。

基本手当(失業手当)の受給期間が変わる条件
雇用形態による受給期間の違い
正規雇用か非正規雇用かといった「雇用形態」そのものは、基本手当の受給期間には影響しません。
一方で、どれくらいの期間働いていたかという「雇用期間」は、基本手当の内容に関係してきます。
具体的には、受給期間は雇用形態に関係なく 一般被保険者は原則1年、短期雇用特例被保険者は6か月 と制度で決められており、ここは変わりません。
ただし、働いていた期間が長いほど、所定給付日数(実際にもらえる日数) が増える仕組みになっています。
勤続年数が受給期間に与える影響
勤続年数は、受給期間ではなく所定給付日数の算定要素です。
被保険者期間が長いほど、離職理由によってはより長い所定給付日数が設定される場合がありますが、受給期間(資格が有効な期間)は原則として変わりません。
これは、長期にわたる勤務が労働市場での安定性と解釈され、リスクの少ない投資として保険からの保護を受けやすいからと考えられます。
年齢による受給期間の変動について
年齢によって変わるのは受給期間ではなく「所定給付日数」です。
特定受給資格者(倒産・解雇など)の場合、年齢が高いほど所定給付日数が長くなる傾向があります。
一方、自己都合退職などの一般の離職者では年齢による支給日数の差はありません。
なお、受給期間(原則1年)は年齢にかかわらず一定です。
例えば、若年層(おおむね30代以下)は、求人の選択肢が多く再就職までの期間も比較的短い傾向があるため、所定給付日数はおおむね90〜120日程度に設定されることが一般的です。
一方で、中高年層(45歳〜65歳)は、職種や業種によっては再就職に時間を要するケースがあり、生活への影響も大きくなりやすいとされています。
そのため、所定給付日数は150〜330日程度と、より長めに設定される仕組みになっています。
ただし、通常の自己都合退職では、年齢による違いはありません。
倒産・解雇などで離職した場合、年齢による差が生じます。

まとめ
基本手当の「受給期間(有効期限)」は、原則として離職日の翌日から1年間です。
これは雇用形態や年齢によって変わるものではありません。
一方で、実際に手当を受け取れる「所定給付日数」は、離職理由・勤続年数・年齢によって一人ひとり異なります。
仕組みを正しく理解していないと、「手続きが遅れて満額もらえなかった」という事態にもなりかねません。
もし、退職後の手続きや、従業員の退職に伴う書類作成などでお困りのことがあれば、諏訪労務管理センターまでお気軽にご相談ください。
複雑な制度もわかりやすくサポートし、スムーズな手続きをお手伝いいたします。