従業員の働く環境を支える労務の仕事は、給与計算や社会保険の手続きなど、その範囲が多岐にわたります。
毎月決まって行う業務に加え、年に一度の重要な手続きも多く、全体の流れを把握するのはなかなか大変かもしれません。
特に、初めて労務を担当する方や、担当して間もない方にとっては、いつ、何をすべきか不安に感じることもあるでしょう。
年間の業務スケジュールをあらかじめ知っておくことは、計画的に仕事を進め、慌ただしい時期を乗り切るための大切な羅針盤になります。
今回は、労務担当者が行う定例業務と、年間の主要な手続きについてご紹介します。
日々の業務の全体像を掴むための一助として、ぜひお役立てください。
労務担当者が毎月・随時行う定例業務
毎月の基本業務
毎月必ず発生する基本的な業務には、主に以下の3つが挙げられます。
・給与計算と勤怠集計
従業員の勤怠データ(出勤日数、労働時間、残業時間など)を集計し、それに基づいて基本給や各種手当、控除額を計算して給与額を確定させる業務です。
従業員の生活を支える根幹となるため、1円の間違いも許されない正確さが求められます。
また、勤怠集計の際には、時間外労働が36協定の範囲内に収まっているかなど、法令遵守の観点からのチェックも欠かせません。
・社会保険料などの納付
従業員の給与から控除した健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料と、会社負担分を合わせて納付します。
同様に、所得税や住民税も定められた期日までに納付する必要があります。
これらの手続きは、従業員が安心して社会保障を受けられるようにするための大切な業務です。
発生の都度対応する随時業務
従業員の入社や退社、あるいはライフイベントの発生など、必要に応じて随時対応する業務もあります。
・入退社手続き
従業員の入社時には、社会保険や雇用保険の資格取得手続き、労働条件通知書の作成、給与振込口座の登録などを行います。
一方、退社時には、各種保険の資格喪失手続きや、源泉徴収票の発行、必要に応じて退職金の計算など、多くの手続きが発生します。
・各種保険の申請
業務中や通勤中に従業員がケガをした際の「労災申請」や、業務外の病気やケガで長期間仕事を休む際の「傷病手当金」の申請手続きも労務の仕事です。
また、従業員やその配偶者の出産・育児に伴う産休・育休関連の手続きも、発生の都度、迅速かつ丁寧に対応することが求められます。

労務の年間スケジュールにおける主要手続き
6月~7月:労働保険の年度更新と算定基礎届
初夏は、保険料に関する2つの重要な手続きが重なる時期です。
・労働保険の年度更新
前年度(4月1日~3月31日)に支払った賃金総額をもとに、確定した労働保険料(労災保険・雇用保険)を精算し、新年度の概算保険料を申告・納付する手続きです。
申告と納付の期間は、原則として毎年6月1日から7月10日までとなっています。
・算定基礎届の提出
社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の基準となる「標準報酬月額」を、実態に合わせて見直すための手続きです。
毎年4月、5月、6月に支払った給与の平均額をもとに新しい標準報酬月額を算出し、7月10日までに年金事務所へ提出します。
この届出によって決定された新しい保険料は、その年の9月分から適用されます。
12月~1月:年末調整と法定調書の提出
年末から年始にかけては、税金関連の業務が集中し、労務担当者にとって一年で最も忙しい時期といえるでしょう。
・年末調整
従業員が毎月の給与から源泉徴収されている所得税の過不足を、年末に精算する手続きです。
従業員から「扶養控除等申告書」や「保険料控除申告書」といった書類を回収し、生命保険料控除や住宅ローン控除などを反映させて、1年間の正しい所得税額を確定させます。
・源泉徴収票の発行と法定調書の提出
年末調整が完了したら、その結果を記載した「源泉徴収票」を作成し、従業員へ交付します。
さらに、税務署には「法定調書合計表」を、各従業員が住む市区町村には「給与支払報告書」を、翌年の1月31日までに提出する必要があります。
4月:新年度の始まりに伴う業務
多くの企業で新年度がスタートする4月は、人の動きが活発になるため、関連する業務が増加します。
・新入社員の入社手続き
新卒社員をはじめ、多くの新しい仲間を迎える時期です。
入社者が集中するため、社会保険の加入手続きや雇用契約に関する書類の準備などを、漏れなく効率的に進める必要があります。
・36協定の更新
時間外労働や休日労働を行うために必須となる「36協定」は、有効期間が1年間と定められていることがほとんどです。
多くの企業が4月1日を起算日としているため、3月中に協定を更新し、労働基準監督署への届出を済ませておく必要があります。
この届出を怠ると法律違反となるため、特に注意が必要です。
このほか、昇給に伴う給与データの更新や、人事異動に伴う従業員情報の変更など、年度初めならではの業務が重なります。

まとめ
労務の仕事は、給与計算のような毎月の定例業務から、入退社手続きのような随時発生する業務、そして労働保険の年度更新や年末調整といった年に一度の大きな手続きまで、多岐にわたります。
これら一つひとつの業務には厳格な期限があり、従業員の生活や会社のコンプライアンスに直結するため、担当者様の負担は決して小さくありません。
「通常業務だけで手一杯で、年次手続きまで手が回らない」「法改正に追いつくのが大変」といったお悩みをお持ちの場合は、専門家へのアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。
諏訪労務管理センターは、豊富な実績による労務サポートはもちろん、会計事務所とのグループ連携により、年末調整などの税務関連業務もワンストップでスムーズに対応可能です。
また、オンラインでの手続き完結にも対応しており、忙しい担当者様の業務効率化を強力にバックアップいたします。
煩雑な労務手続きにお困りの際は、ぜひ一度当センターへご相談ください。