従業員にとって、毎月の給与は生活を支える大切なものです。
そのため、給与を計算する業務は、企業の根幹を支える非常に重要な役割を担っています。
しかし、初めて給与計算を担当する方にとっては、「何から手をつければ良いのか」「計算が複雑で難しそう」といった不安を感じることも少なくないでしょう。
給与計算には、社会保険や税金など、さまざまな法律が関わってくるため、正確な知識が求められます。
今回は、給与計算を初めて行う方に向けて、計算の基本的な流れと、各項目の計算方法についてご紹介します。
給与計算初心者が知るべき手順は
給与計算は、一見すると複雑に思えるかもしれませんが、全体の流れは大きく3つのステップに分けることができます。
この手順を理解することが、正確な給与計算への第一歩です。
まずはこの大きな流れを掴みましょう。
総支給額をまず算出
給与計算で最初に行うのは、「総支給額」の算出です。
総支給額とは、基本給に加えて、残業代や各種手当など、会社から従業員に支払われるすべてのお金の合計額を指します。
いわゆる「額面給与」と呼ばれるものがこれにあたります。
この総支給額が、後述する社会保険料や税金の計算の基礎となるため、すべての計算のスタート地点となる非常に重要な金額です。
次に社会保険料や税金を控除
総支給額が確定したら、次にそこから差し引く「控除額」を計算します。
控除とは、総支給額から天引きされる項目のことです。
控除されるものには、法律で定められている「法定控除」と、会社と従業員の取り決めによって天引きされる「法定外控除」の2種類があります。
法定控除の代表的なものは、以下の通りです。
・社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料)
・税金(所得税、住民税)
一方、法定外控除には、財形貯蓄の積立金や労働組合費、社宅の家賃などがあります。
これらの控除項目を一つひとつ計算し、合計額を算出します。
最後に手取り額を確定
最後に、従業員が実際に受け取る金額である「手取り額」を確定させます。
これは「差引支給額」とも呼ばれ、以下の式で計算できます。
「総支給額−控除額の合計=手取り額(差引支給額)」
この計算によって算出された金額が、従業員の銀行口座に振り込まれる最終的な給与額となります。
給与計算は、この3つのステップを順番に進めていくのが基本です。

給与の各項目はどう計算する
給与計算の大きな流れを理解したところで、次はその中身である「総支給額」と「控除額」の具体的な計算方法を見ていきましょう。
それぞれの項目には計算ルールがあるため、正しく理解しておくことが大切です。
基本給と各種手当に割増賃金を加算
総支給額は、「基本給」「各種手当」「割増賃金」の3つを合計して算出します。
・基本給
雇用契約や給与規程で定められた、給与の基本となる賃金です。
・各種手当
役職手当、資格手当、住宅手当、通勤手当など、会社が独自に定めている手当です。
通勤手当のように一定額まで税金がかからない(非課税)ものもあります。
・割増賃金
時間外労働(残業)、深夜労働、休日労働に対して支払われる賃金のことです。
「1時間あたりの賃金×対象の時間数×割増率」で計算します。
割増率は法律で定められており、例えば時間外労働は25%以上、深夜労働も25%以上、法定休日の労働は35%以上となります。
なお、時間外労働が深夜(原則22時から翌5時)に行われた場合は、法定時間外労働の割増賃金25%に加えて、深夜労働の割増賃金25%が上乗せされるため、合計で50%以上の割増賃金を支払う必要があります。
社会保険料を標準報酬月額から算出
控除額の中心となる社会保険料は、主に健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料(40歳以上が対象)、雇用保険料の4つです。
健康保険料と厚生年金保険料は、「標準報酬月額」を基に計算します。
標準報酬月額とは、毎年4月〜6月の給与の平均額から算出される等級のようなもので、この等級に応じた保険料が決められています。
算出された保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担(折半)します。
一方、雇用保険料は、その月に支払われる賃金総額に定められた保険料率を掛けて計算します。
この保険料率は、事業の種類によって異なります。
所得税と住民税を源泉徴収
税金には所得税と住民税があり、会社が給与から天引きして従業員に代わって納付します。
これを「源泉徴収」と呼びます。
所得税は、その月の総支給額から社会保険料などを差し引いた「課税対象額」と、扶養している家族の人数に応じて、国税庁が発行する「源泉徴収税額表」を用いて税額を決定します。
住民税は、前年の所得を基に市区町村が税額を決定します。
会社には従業員一人ひとりの年間の住民税額が通知されるため、その金額を12で割った額を毎月の給与から天引きします。

まとめ
給与計算は、従業員の生活と会社の信頼に関わる重要な業務です。
一見複雑に感じられますが、その手順は「総支給額の算出」「控除額の計算」「手取り額の確定」という3つのステップで構成されています。
総支給額は基本給や手当、割増賃金を合計したものであり、そこから社会保険料や税金などの控除額を差し引くことで、最終的な手取り額が確定します。
各項目には法律で定められた計算ルールがあるため、一つひとつ丁寧に進めることが大切です。
この記事でご紹介した基本的な流れと計算方法を理解し、正確な給与計算業務に役立てていただければ幸いです。
給与計算の手続きでお困りのことがあれば、諏訪労務管理センターまでお気軽にご相談ください。
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