従業員が会社を辞めるとき、最後の給料はいつも通りに支払うのか、それとも何か特別な計算が必要なのか、気になったことはありませんか。
退職月の給料は、日割り計算の方法や社会保険料の扱いなど、知っておきたいポイントがいくつかあります。
こうした仕組みを事前に理解しておけば、支払う金額について、事前に従業員に案内でき、安心して次のステップへ進んでもらうことができます。
今回は、退職月の給料がどのように計算され、何が引かれるのかについてご紹介します。
退職月の給料はどう計算されるか
月の途中で退職した場合、最後の給料は満額ではなく、在籍した日数に応じて支払われるのが一般的です。
一方で、月末最終日まで勤務して退職した場合は、通常通り1ヶ月分の給料が支払われます。
在籍期間に応じて日割り計算される
月の途中で退職すると、基本給や一部の手当は日割りで計算されます。
これは、その月に実際に在籍していた日数分だけ給料を支払うという考え方です。
例えば、給料の締め日が月末の会社で9月15日に退職した場合、9月1日から15日までの期間が給料の計算対象となります。
この日割り計算の方法は、会社によってルールが異なるため、自社がどの方法を採用しているかをきちんと把握しておくことが大切です。
計算方法は就業規則で定められた3つの方式
日割り計算の方法は、法律で具体的に定められているわけではなく、会社の就業規則や賃金規程によって決まっています。
主に以下の3つの方式が用いられます。
・暦日(れきじつ)で計算する方法
その月のカレンダー上の日数(30日や31日)を基準に計算します。
【計算式】月給額÷その月の暦日数×在籍した暦日数
休日も計算に含まれるため、1日あたりの単価は他の方法より低くなる傾向があります。
・その月の所定労働日数で計算する方法
会社が定めたその月の労働日数(土日祝などを除いた日数)を基準に計算します。
【計算式】月給額÷その月の所定労働日数×出勤日数
祝日が多い月は所定労働日数が少なくなるため、1日あたりの単価が変動します。
・月平均の所定労働日数で計算する方法
年間の所定労働日数を12ヶ月で割った平均日数を基準にします。
【計算式】月給額÷月平均の所定労働日数×出勤日数
月ごとの労働日数の変動に影響されず、1日あたりの単価が常に一定になるため、公平な計算方法とされています。
手当は種類によって扱いが異なる
給料に含まれる各種手当も、その性質によって退職月の扱いが変わります。
残業手当や休日出勤手当といった、実績に応じて支払われる変動手当は、退職月であっても働いた分は全額支払われます。
一方、通勤手当、住宅手当、役職手当などの固定手当は、会社の就業規則の定めによります。
「日割りで支給する」と定められていれば基本給と同様に計算されますし、「全額支給する」と定められていれば満額が支払われます。
特に規定がない場合は、会社に日割り計算の義務はありません。

給料から何が引かれるか
退職月の給料からも、通常時と同じように社会保険料や税金が差し引かれます。
ただし、社会保険料と住民税については、退職日によって扱いが大きく変わるため注意が必要です。
社会保険料と税金が控除される
給料から天引きされる主な項目は以下の通りです。
・社会保険料
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料(40歳以上)、雇用保険料
・税金
所得税、住民税
雇用保険料は退職月に支払われた給与総額に対してかかり、所得税も基本的には通常通りの計算で控除されます。
しかし、健康保険料や厚生年金保険料、そして住民税は、退職のタイミングによって控除の仕方が異なります。
社会保険料は月末退職か否かで変わる
従業員の健康保険料や厚生年金保険料は、退職日によって最後の給料から引かれるかどうかが決まります。
ポイントとなるのは「資格喪失日」です。
社会保険の資格を失う日は「退職日の翌日」と定められており、保険料は「資格喪失日が属する月の前月分」まで支払うルールになっています。
・月途中で退職した場合(例:9月15日退職)
資格喪失日は9月16日です。
資格喪失日が9月なので、支払う保険料は8月分までとなります。
そのため、9月分の社会保険料は給料から引かれません。
ただし、9月分の保険料は自分で国民健康保険などに加入して納める必要があります。
・月末に退職した場合(例:9月30日退職)
資格喪失日は10月1日です。
資格喪失日が10月なので、支払う保険料は9月分までとなります。
そのため、最後の給料から9月分の社会保険料が引かれます。
このように、退職日が月末かそうでないかで、従業員の手取り額には大きな違いが出ることがあります。
住民税は退職時期で徴収方法が異なる
住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年6月から翌々年5月までの12回に分けて給料から天引きされています。
そのため、退職する時期によって残りの税金の納め方が変わります。
・1月1日から5月31日までに退職する場合
原則として、その年の5月分までの残りの住民税が、最後の給料や退職金からまとめて差し引かれます(一括徴収)。
・6月1日から12月31日までに退職する場合
基本的には、退職月の分までが天引きされ、残りの期間の住民税は自分で納付する「普通徴収」に切り替わります。
ただし、本人が希望すれば、会社に申し出て一括で徴収してもらうことも可能です。

まとめ
退職月の給料計算は、普段とは異なる点がいくつかあります。
特に月の途中で会社を辞める場合、給料は日割りで計算され、その方法は会社のルールによって異なります。
また、給料から引かれる社会保険料は「月末退職」か「月途中退職」かで控除の有無が変わり、手取り額に大きく影響します。
住民税も、退職する時期によって最後の給料から一括で引かれるかどうかが決まります。
退職時は人事・労務部門においてもさまざまな実務対応が発生しますが、こうした給与や社会保険の仕組みを正しく理解しておくことで、退職手続きを円滑に進めるとともに、従業員への説明やトラブル防止にも繋げることができます。
もし、退職後の手続きや、退職に伴う書類作成などでお困りのことがあれば、諏訪労務管理センターまでお気軽にご相談ください。
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